1. 音韻意識(phonological awareness)

音韻意識は話言葉の基礎となる、音を聞き取る活動すべてに関わります。音韻意識と文化的に最も関わりが深いのは、「文字」です。

人は成長と共に話言葉に含まれるそれぞれの音を意味のある固まりとして認識できるようになっていきます。

音韻とは、「ある言語において音を区別する場合に余計な物を切り捨てた音の単位」と定義されています(橋本, 1977)。

 

音韻の単位は、最小のものが音素です。(consonant:子音音素, vowel:母音音素) これらの音素を組み合わせたものが、音節です。日本語は、子音と母音をセットにしたCV構造を中心としています。ですが英語は、子音・母音・子音のCVC構造を中心としており、最初の子音をオンセット(onset)、並びの母音と子音をライム(rime)と区分します。CCVC構造の場合は、CCがオンセットになります。(例えば floodですと、flがオンセット、oodがライムです。)CVCC構造の場合は、VCCがライムになります(例えばpinkですと、pがオンセット、inkがライム)。

 

日本語の音節の場合は、モーラ(mora;拍)という単位が中心になります。モーラは、撥音、拗音、促音など特殊音節も一拍と数えるので、音節と異なります。例えば、「きっぷ」は 二音節ですが、モーラでは「き」「っ」「ぷ」と3拍で数えます。では、「きゅうきゅうしゃ」は何音節で、何モーラでしょう?

答えは・・・「きゅう・きゅう・しゃ」の3音節、「きゅ」「う」「きゅ」「う」「しゃ」の5モーラですね。

音韻意識とは、こうした言語の音韻の単位を操作する能力と言われています。

そしてこの能力が、読み書きに大きな影響を与えています。

 

参考: 橋本萬太郎(1977).音韻体系と構造. 大野晋・柴田武(編)岩波講座日本語5 音韻. 岩波書店.

高橋登・大岩みどり・西元直美・保坂裕子(1998).音韻意識と読み能力—英語圏の研究から. 大阪教育大学紀要 (47) 1. p. 53-80.(http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/3345/1/KJ471400053.pdf)

Virginia Department of Education (1998). IDEAS AND ACTIVITIES FOR DEVELOPING PHONOLOGICAL AWARENESS SKILLS. (http://www.doe.virginia.gov/instruction/response_intervention/resources/ideas_activities_develop_phonological.pdf)

 

2. 音韻認識のピラミッド

文字はいきなり読めるようになるのではなく、発達の段階を経て徐々に獲得していくスキルの一つです。習得には大きな個人差があるとともに、言語によって、習得の困難さが異なります。 英語はヨーロッパでも最も習得が難しい言語のひとつだと言われていることをご存じですか?それは、言語の単位が音素であることに加え、文字と音の対応規則が不規則であることと関係しています。 下は、音韻認識を表すピラミッドです。音韻認識は、青で示されている聞く活動すべてに関わります。一番下の緑の部分は、文の分解(sentence segmenting)、つまり一連の音を文章の意味の区切りで区切ることができる段階です。それができるようになると、赤の音節分解・混成(syllable segmenting and blending)で、音節がわかるようになります。 英語の読みの基本になるオンセット−ライムの操作はその上の段階です。ここに、ライム(rhyming)や、アリタレーション(alliteration)活動を含みます。 そしてようやく、音素(phoneme)操作の習得にたどり着きます。

(参考:http://audioinenglish.blogspot.jp/2012/09/phonological-awareness.html)

3. フォニックス

フォニックス(phonics)とは、文字素と音素を結びつけるための活動です。文字と音には対応のルールがあり、そのルールを習得することで、読めるようになると言われています。

今では書店に多くのフォニックス関連の書籍もあり、児童英語や英語教室ではフォニックスを取り入れているところが多くあります。子どもたちは文字を見ながら音を覚え、「音の足し算」などの活動を通じて、1文字から徐々に単語を読めるように進んでいきます。いきなり単語を覚えさせられて、とても苦労した覚えのある人にとっては、文字の音を足せば読めるようになるのですから素晴らしい指導法です。

しかし注意すべき点は、「フォニックスだけ学習しても読めるようにはなかなかならない」という指摘があることです。

フォニックスを英語学習の救世主のように扱うことは、またしても都合の良い面しか見ないことになり、失敗につながります。

本来は、音の操作ができるようになってから文字習得に結びつけるという自然な流れを、文字と音をいきなり結びつけるという暗記活動になりかねません。

音の操作を聴覚・発話レベルでできるようになる訓練が必要です。

 

参考:
リヴォルヴ学校教育研究所:小学校(入門期)英語活動のWhat?とHow?‐聞く①‐ (PDF,908KB)(無料ダウンロード)
リヴォルヴ学校教育研究所:英語れんしゅうちょう 指導の手引(PDF,1.17MB)、「英語れんしゅうちょう」http://rise.gr.jp/manaby/revolve_kyouzai/eigo; 「英語の森(英語練習ゲーム)」サンプルhttp://rise.gr.jp/eigonomori_sample/eigonomori_hp.swf

Starfall.com : http://www.starfall.com

Softschools.com: http://www.softschools.com/language_arts/phonics/

Free Printables for Teachers : http://www.mes-english.com/phonics.php

Jolly phonics: http://jollylearning.co.uk/overview-about-jolly-phonics/

GENKI
イングリッシュフォニックス:http://genkienglish.net/phonicsj.htm