多感覚指導法は学習障害(LD)のある児童生徒にとって重要な指導法であり、学習法です。通常こどもたちは教室で主に、聴覚と視覚を用いて授業を受けています。ですが視覚情報処理や聴覚情報処理に弱さがある場合、せっかくの指導内容が理解できなかったり、指導についていくことが困難になる可能性があります。そのため、複数の感覚を用いる指導技術や方略は、情報の処理に偏りのあるLDの子どもたちにとっては、得意な方略を用いて学習する機会を得ることになります。

また、「多感覚指導(学習)法」という1つのメソッドがあるのではなく、これは人間の持つ視覚、聴覚、触覚などの感覚を複数用いる指導や学習の総称です。自分の得意な感覚を用いた学習スタイルを用いると、そうでない場合よりも早く容易に知識や技術を習得することができます。障害があってもなくても、ほとんどの児童や生徒は多感覚を用いた活動が好きです。

 

 

多感覚指導法がなぜLD児童に重要なのか

LD児童は「読む、書く、計算する、聞く、話す、推論する」などの領域で1つ以上の学習困難を抱えています。多感覚を用いた指導法では、こうした児童の得意な領域を用いて学習を進めることができます。

視覚刺激を用いた学習

多感覚学習では例えば以下のような視覚的な教材や学習道具を取り入れて見て下さい。

  • 文字や絵、イメージ
  • ビデオ、映画、コミュニケーションカード、手話
  • DAIDYなどのソフトウェア
  • 蛍光ペン、色鉛筆、サインペン、絵の具
  • まとめ表など、手順や構成を書き込めるプリント

聴覚刺激を用いた学習

音や音声を用いた指導法や学習では次のような教具を用いたり指導に取り入れることができるでしょう。

  • 音楽、歌、楽器
  • ことば遊び
  • ライム、チャンツ、リズム
  • 音声での読み上げソフト
  • ビデオ、映画

感覚(触覚)刺激を用いた学習

触覚刺激を用いた指導はtactile teaching methodと呼ばれています。

例えば算数の指導に小さいブロックなどを使ったり、粘土やビーズを用いた文字指導などを含みます。そのほかにも、

  • 砂や塩をたっぷり入れたトレー
  • サンドペーパー
  • パズル、ブロックなどを用いることができます。

 


運動感覚を用いた学習

体の動きを用いる学習法は、kinesthetic methodsと呼ばれます。微細運動と粗大運動の両方を使います。

未就学児の場合は、数唱などになわとびや手拍子、足踏みなどを取り入れると良いでしょう。または、覚えたい内容をメロディに乗せて歌にすることもできます。ビーンバッグ・トス(小さいお手玉でキャッチボール)やダンスなどもいいでしょう。